死産の記録

2018年8月、20週で死産しました。赤ちゃんが確実にいた証と気持ちを残しておきたくて。

入院おぼえがき3日目、3

夕方になっても、出てくる気配がない。弱い陣痛も続いているけれど、よくわからない。よつんばになって出てきやすいポーズをとったり、歩いてみたりするけれども効果なし。ただ、もうラミナリアをさらに入れるのは無理すぎて、看護師さんたちにうったえる。足浴とかもしてもらうけれど、効果なし。

内診でチェックしてもらうと、赤子はもうおりてきてるので、先生がひっぱりだして、出てくるかみてみましょうということになり、LDRから処置室に移動。ほぼお向かいの部屋なのだけれど、これが、ざ、手術室な感じで少し怖くなる。

ここで担当してくれていた助産師さんが出勤のため登場。ずっと横についていてくれるらしい。感謝!導尿をし、女性の先生2人がかりで、ひっぱりだしてくれるのだけど、あこちゃんが横向きのため肩しか出てこないらしい。いきんでもでてこない。いきみなながら、これがいきむということかと思ったりもする。ただ、膣に手を突っ込まれているため、これも痛い。

ここで、急きょ、静脈麻酔での分娩を提案される。ほぼ決定事項のようだった。麻酔がかかると痛くないけれど、あかちゃんの損傷ははげしくなるとのこと。私はここで、これはあこちゃんが配慮してくれた結果なのだと思った。横向きでは出てこないし、このままではまた処置に逆戻りで、入院も伸びる。ラミナリアもいれなければならない。今日出てこないと、夫は立ち会えない。でも、産声を上げない分娩はつらいし、痛いのも限界だし、胎盤も出さなくてはいけないし、静脈麻酔での分娩はまったく頭にもなく知識もなかったけれど、あこちゃんが身を呈して守ってくれているのだと思った。あこちゃんは、これから生存しないあこちゃんの身体よりも母体を優先することにしたのだと。静脈麻酔での分娩することを旦那さんと相談してくださいと言われて、LDRに控えてくれていた夫が来てくれる。夫は最初、抵抗があったみたいなのだけれど、あこちゃんが守ってくれてそれで配慮してくれてるんだと思うというと、ふに落ちたみたいで納得してくれる。

術後に呼びますねと夫はLDRに帰り、私は酸素マスクとか、心拍等を確認するものをつけられる。もともと痛み止めのためにずっとつけている、プラスチックでできた静脈針に麻酔を投入。少し眠くなりますよと言われて、天井が少し回った感じがして、変な夢を見る。屋台の夢だった気がする。そのうちに、声をかけられて、目をあけると、横に夫がいた。最初の私の一声はあこちゃん出た?だったらしい。目を開けても、眠くて、眠くて変な感じだった。そしてうまくしゃべれない。何分かしているうちにちょっとしゃきっとしているけれど、まだぼーっとしていた。

しばらくしてあこちゃんを連れてきてもらった。やはり、損傷がはげしくて、胴体は布につつまれている。たぶんちぎれていたのだと思う。それでも、口から上のお顔と足は綺麗にあって、足型もとってもらえた。出てきた瞬間もわからなかったし、お腹にいたことに不思議だし、お腹で育っていたこともよくわからないけれど、そんなに完璧な足を持っていることにびっくりした。やっぱり男の子だったよと教えてもらう。

まだ、ちょっとだけ会って、またあずかってもらって、意識が少しさめたころに、車いすで、病室に帰る。